より充実した教育をめざして
効果的な研修指導の実践を目的として、「医師臨床研修ワーキンググループ」を設置しています。 各診療科(部)から1名ずつ研修指導に携わる担当者を選出し、定期的に協議を行っています。
実践力を育てる多様な学びの機会
院内では様々なレクチャーや講習会が行われています。ここでは研修センター主催のものの一部をご紹介します。
▶ 京大病院Grand Round
各診療科が毎月持ち回りで担当するランチョンセミナー「京大病院 Grand Round」では、実際の症例をもとにした症例提示や、診療のTips、最先端医療の紹介など、多彩なミニレクチャーが行われます。症例提示は主に研修医や若手医師が、ミニレクチャーは指導医が担当し、実践的な学びと専門的知見をバランスよく得ることができます。
また、特別編として、子どもの虐待対応に関する講演や、「今、なぜ私がここにいるのか」をテーマにしたキャリアインタビューなど、医療の視野を広げる機会も設けています。200回目となる節目の回を2025年5月に迎えるなど継続的に開催されており、多くの研修医にとって学びと交流の場となっています。
(2024年度以降は対面とオンラインのハイブリッドで開催しています。講演をアーカイブに残し、学習に役立てられています。 )

▶ 研修医向け勉強会”KITKATs”

各診療科の協力のもと、明日からの臨床に役立つ知識や技術を学べる勉強会“KITKATs”を定期的に開催しています。開催形式はレクチャー・臨床推論を用いた症例検討に加え、診察技法や手技の実践(ハンズオンセミナー)など多岐にわたります。研修医が現場で直面する課題に対して、具体的な解決策を提示し、安心・安全で質の高い医療を提供できるようサポートすることが目的です。気軽に参加でき、楽しく学べる、有意義な機会づくりを目指しています。
▶ 米国医学部(ミシガン大学等)への臨床留学プログラム
臨床研修の一環として、米国の医学部(ミシガン大学など)への臨床留学の機会を設けています。国際的な医療現場での実地経験を通じて、視野を広げ、さらなる成長を支援することを目的としています。希望者の中から選抜し、2年次研修医 数名を1か月程度派遣する予定です。今後 提携先の拡充を検討していきます。

▶ 国内・海外からの招聘講師による特別レクチャー
国内外の第一線で活躍する医師や専門家を招聘し、特別レクチャーを開催しています。最先端の知見や現場のリアルな経験に触れることは、日々の臨床に新たな視点や学びをもたらします。研修医や若手医師にとって刺激的で実りある時間となるよう、定期的に機会を設けています。

▶ シミュレーショントレーニング
シミュレーションセンター(後述)で提供されているトレーニングのうち、研修医向けの代表的なものは以下の通りです。
・ レジラボ(医療手技の練習シミュレーションラボ)
診療に必要な基本的手技を、多彩なシミュレーターを活用して反復練習できる「レジラボ」を、毎年、年度初めの2~3か月間に開催しています。静脈確保・採血、動脈穿刺、皮膚縫合、気道確保、バッグバルブマスク(BVM)換気、気管内挿管などの基本的な技術に加え、腰椎穿刺、中心静脈穿刺、エコー(FAST*)などの手技も、シミュレーターを用いてスタッフの指導のもと練習することができます。
* FAST; Focused Assessment with Sonography for Trauma
外相患者の救急処置の必要性を判断するために行われる超音波検査

・ BLS・ICLSトレーニング
病棟での急変時に対応するために必要な一次救命処置などを習得するトレーニングコースを、定期的に開催しています。BLS(一次救命処置)は月に1回程度、ICLS(二次救命処置)は年に2〜3回のペースで実施しています。研修医の先生方には、オリエンテーションの一環としてBLSの簡易版を受講する機会も設けています。実践的なシナリオを通して、急変時の対応力を高めることを目的としています。

学びを支える教育資源と環境
▶ シミュレーションセンター
(CSC ; Kyoto University Hospital Clinical Simulation Center)
臨床現場で必要なスキルを、実際の診療に近い環境で繰り返し練習できるシミュレーションセンターを整備しています。豊富なシミュレーターを活用し、指導医のもとで実践力を高めるトレーニングが可能です。詳しくは、クリニカルシミュレーションセンターのウェブサイト をご参照ください。

▶ 学習支援環境(電子リソース・図書館アクセス)
京都大学医学図書館をはじめとする学内の図書館を自由に利用できるほか、院内のWi-Fi環境により、個人端末から各種学習リソースへスムーズにアクセスできます。「UpToDate」などの臨床支援ツール、eラーニングコンテンツ、電子ジャーナル・文献データベースは、学内認証を経て自宅など院外からも利用可能です。診療・学習・研究を効果的に結びつける環境が整っています。

▶ 研修医専用スペース
北病棟6階の総合臨床教育・研修センター内には、更衣室、研修医室、メールボックスが設置されています。研修医室には、1・2年次研修医それぞれに1人1つの作業用デスクが用意されており、複数台のパソコン(電子カルテ対応)やプリンターも完備されています。学習や記録業務に集中できるほか、同期や先輩と気軽に相談・交流しやすい環境です。また、地下1階には研修医専用の休憩室があり、夜間業務や緊急対応にも備えることができます。研修医であることが一目でわかる専用スクラブも支給しており、安全かつ円滑に研修を進められるよう配慮しています。
その他にも以下のような環境を整えています。
・安全管理(ガラスバッジ、グラスシールドの配布)
・定期的な面談の実施
・希望者へのメンターシップ
